完全母乳、混合、完全ミルク。それぞれにどんな印象を持っているだろうか。
世の中には完全母乳だと「偉い!」とか「頑張ってる!」とか言う声を耳にすることがあります。日本においては、母乳神話が凄まじく蔓延しています。妻が悩んでいたので、少し勉強して自分なりに解釈+意見を述べてみました。個人的な意見が散らばっていますので、ご注意を。。。
完全母乳、混合、完全ミルクに貴賤なんてない
混合や完全ミルクの人が完全母乳に移行するのは難しことが多いため、女性の世界では完全母乳はプレミアのごとく扱われ、マウントの取り合いで貴賤が生じているのかもしれないが、私は貴賤などあるはずもないと思う。
気になる点として、その争いの中には子の父親が出てこない点も気になる。貴賤をつけようとする考えは最近話題のアンコンシャス・バイアス(無意識の偏見)というもので、知らず知らずのうちに育児は女性がするものという思考の元に成り立っていて、男性を育児から遠ざけている一因にもなっているのだろう。
世の中には、母親が居ない子供もたくさんいる。シングルファーザーとして子育てしている人も居るし、父親が実家に頼っている人もいるだろう。そんな人は母乳が与えられる人なんていない。そんな子育てをされた子供は、母乳だけで育った子供に比べて寂しい子供なのだろうか?そんなことはない。
育児はみんなで協力してやるもの、関わっている人はみんな偉いし、みんな頑張ってると私は思う(一番頑張っているのは子供かもしれないけれど)。この問題に関しては、他者と比較して差をつけて優劣をつけるのは間違っていると思う。
親は子供のサポート役
こんな考え方はどうだろうか。「親は子供のサポート役」。
完母、混合、完ミそれぞれにメリット・デメリットはあると思うが、子供は腹が減ったと泣き、腹を満たして寝て、勝手に育つ。親は子供の成長のサポート役なのだ。
腹を満たすサポート、オムツを替えるのも排せつのサポート、子供の教育も将来に能力を引き出すためのサポート、子供は自分で出来ないので、どうしても親が「やってあげる」必要があるが、その行為が子育ての本質ではなく、「子供が育つためのサポート」であることを忘れてはならない。そう考えると、授乳の手段はせいぜい行動目標程度であって、成果目標にはなりえない。
完全母乳に出来なかったこと(妻の悩み)
我が家では早く生まれてきたので、母体の準備や保育器での体温保持などがあった影響で出生直後から混合である。生まれた直後から母乳を与えていれば、完全母乳に出来たのでは?そうすべきだったのでは?というのが妻の悩みである。
我が家では、完全母乳に出来なかった理由があった。
- 小さかったので保育器で体温保持しないといけないので、直接母乳を与えるのはリスクがある
- 哺乳する力が弱めだったので、体力を消耗するリスクが高かった
- 陣痛が長く妻の体力消耗が激しかった
上記のような背景がある中での悩みである。
母乳に拘る理由は?
夫婦でしっかりと話し合いました。質問に対して答えるのは、少し辛そうでしたが妻の気持ちをしっかりと聞いてみました。帰ってきた答えは、
- ○○ちゃんも完全母乳だったから
- ネットで「母乳じゃない子は可哀そうだ」って書いてあった
- 乳幼児突然死症候群になりやすいって書いてあった
- 母子手帳にも母乳がオススメって書いてあった
ということだった。ネットの情報に強く引っ張られてるな。。。というのが印象的だった。次に一つ一つをかみ砕いてみたいと思う。
○○ちゃんも完全母乳だったから
子育てで不安になる気持ちが、皆と同じ行為をしておきたいと思う気持ちを刺激しているのだろう。気持ちは十分に理解は出来るが、私は同じことをすることに意味は感じない。これは、自身が完母、混合、完ミのどれにするかを選択していない事に起因することなので、解決は難しい。
ネットで「母乳じゃない子は可哀そうだ」って書いてあった
「女性の世界では完全母乳はプレミアのごとく扱われ、マウントの取り合いで貴賤が生じているのかもしれない」というところに起因しているだろうか。生活も変化し多様性が重視、尊重される世の中で、「母乳じゃない子は可哀そうだ」なんて古い考えなのねとと考えるべきだと思う。
乳幼児突然死症候群になりやすいって書いてあった
個人的には、「乳幼児突然死症候群」は一部は非常に闇が深いシンドロームだと考えているので、あまり触れたくないが「母乳だから防げる」というよりは、親が子供に対して注視することや、心情の問題だろうと思う。
混合や完全ミルクの場合、授乳中は哺乳瓶持ってるだけなので、テレビやスマホ見ながらになりがちだと思うがそれが問題だと思う。
- 口元から零れたミルクを見逃してないか?
- 鼻に入ったり首元に流れてないか?
- 態勢は辛くなさそうか?
そんな風に我が子のことを注視したほうがよっぽど防げると思う。もちろん寝かしつける環境も大事だ。
親になる人はKYT(危険予知トレーニング)を母子手帳配布時などに義務化した方がいいと思う。あの現場猫で有名になった「ヨシ!」や「ゼロ災で行こう!ヨシ!」の奴です。危険を予知して、事故が起こる可能性を排除することは、仕事でも私生活でもトッププライオリティだ。
母子手帳にも母乳がオススメって書いてあった
母子手帳に母乳を推奨すると記載しているのは、WHOの指針に基づいたものだと思う。ここで大切なのは、WHOが推奨するのは、衛生環境の悪い地域で育児する人も、日本のような衛生環境が整った環境で育児する人も一括りにする点である。
不衛生な哺乳瓶、不衛生な粉ミルクで授乳した日には免疫が未熟な子供はたちまち病気に罹り、最悪の場合、命を落とすだろう。そんな状況においては母乳は乳首さえ清潔であれば、人から分泌される母乳は分泌直後は基本的に無菌状態である。それが衛生的な授乳に繋がるからWHOが母乳を勧めるのは理にかなっている。
引っ張ってきているのはunicefですが、下記のような記載があった。
母乳育児は、子どもの一生の健康のために不可欠で、保健施設、家族や政府にかかるコストを減らします。出生後1時間以内に母乳を飲ませられると、新生児を感染症から守り命を救うことができます。
https://www.unicef.or.jp/news/2018/0064.html
日本においては、衛生状態も完備され、優秀な粉ミルクもある中なので、WHOの勧告を真に受けるのは正しいのだろうかと思う節がある。
私の意見:おっぱいにするかミルクにするか問題
私の意見は上記の通りだが、まとめると以下のようになる。
誰かの意見はあくまで参考程度、自分の都合でどうするか決めよう。
これに尽きます。完母、混合、完ミそれぞれで育ててきた人が感想等をインスタやブログなどに書いているので、親が感じたメリット・デメリットを参考にするとよいと思う。
- 哺乳瓶の消毒が楽なので母乳
- 父親にも育児に参画してほしいからミルク
- 添い寝で授乳したいから母乳
- 発育管理のために授乳量管理のためにミルク
など、自身がどの授乳形態にするか理由を明確にすることで、他者から嫌なことを言われても跳ねのけられる。誰かを比較に子育てなんてつらいだけ、他所は他所、ウチはウチ、他所の良さそうなところは参考にする程度で行けると心穏やかに子供に全幅の愛情を注ぐことができると思う。子供は、母乳でもミルクでも育つのだから。
ちなみに自分で決めようなんて言いつつ、私は混合を妻に強く推しています。理由としては、2020年に「牛乳アレルギーの予防に早期からの粉ミルク摂取が有効」という報告がされたからです。下記のサイトが参考になります。人工乳を10mL以上の継続的摂取が効果的とのことです。
父親のとしての意見
父親の私としては、我が子にミルクを与えられることが育児へ参画する取っ掛かりとして非常にありがたかった。
自身の中で子を育てていた女性と異なり、男性はどうしても父親になる意識が薄く、もしくは遅くなりがちだと思う。そんな中、粉ミルクを自分で作り、与えると美味しそうに必死にミルクを飲む我が子は可愛いものだ。生まれた直後、妻が私に「この世に天使っているんだね」と言った気持ちが1か月後にようやく理解できた(病院はコロナ対策のため退院まで面会出来なかったし、里帰りしていたこともあり)。
ちなみに完全母乳だと搾乳してもらわないといけないので、父親が準備から片付けまで完結させる自発的な授乳は少し難しいと思った。粉ミルクは父親に子育ての一端を担わせてくれるという文明の有難みをヒシヒシと私に感じさせた逸品であった。
最後に:情報源の重要性
さて、少し話は変わりますが、骨粗しょう症予防に効果があるなどという情報もありました。ソースが見つかりませんね。妻がブログのリンクを見せてくれましたが、どうも母乳ビジネスのお方の情報のようでした。仕事のネタなんですから母乳が良い!母乳が良い!叫びますよね。
普通に考えるとカルシウムも母乳に抜けるので、骨粗しょう症は促進されると思いますけどね。
何かを参考にするときは鵜呑みにするのではなく、
- 統計学に基づいたソースを出せ
- 権威のある論文誌にレビューされ掲載された論文を出せ
(論文誌のインパクトファクターも重要ですね)
が合言葉にしましょう。人の不安に付け込んでくる胡散臭い情報が散見されますので、注意が必要です。まあ、この記事も頭と気持ちの整理に書いた文章をそのまま流用していますので、「個人的には」を多用してソースないんですけどね。
心配しなくても子供は育ちます。小さく生まれてきた私の子供もしっかり育っています。個人的にはミルクよりも離乳食の方が大事だと思います。離乳食にも何か闇があるんだろうか。。。
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